私たちの技術・ポリシー
テクノクラフト・オーディオデザインの考えるオーディオ、また製品作りをする上で大切にしているポリシーや、これまでの開発で培ってきた技術についての解説です。
私たちの製品をご理解していただく上での助けになれば幸いです。
「リアル」から自然へ。
演奏空間を再現する独自のグラウンドコントロール技術について
空間認知のための目と耳
演奏会場とオーディオの音
グラウンドアイソレーションと聴覚の空間認知
グラウンドアイソレーションとピュアグラウンド理論
チャンネル内のピュアグラウンド化について
半導体アンプとピュアグラウンド
ディスクリートアンプとICアンプ
シグナルノイズとグラウンドノイズ
グラウンドエフェクトノイズ
筐体グラウンドノイズとグラウンドエフェクトノイズ
グラウンドノイズスプリット技術とグラウンドノイズ
デジタル信号からのグラウンドアイソレーション
音像定位と音場感
音楽を奏でるオーディオ機器
人の感覚器官のうち目と耳は左右に一対備わっています。共に空間認知のために一対になっています。
片目を閉じると視野が少なくなるだけではなく視覚から遠近感がなくなります。目に映る世界を三次元空間として認知できるように左右一対になっています。
耳も聴こえてくる音の微細な相互の左右の差異から音源の方向や距離だけでなく、耳に聴こえる世界を三次元空間として認知できるように左右一対になっています。
オーディオ機器で音楽を聴く時にも左右の音の差異が演奏会場を彷彿とさせるように感じます。しかし、しばらく聴いていると「演奏」よりも「ステレオ」を聴いている感じがしてきます。演奏会場では楽器や歌声が自然に耳に届きますが、オーディオは音楽信号をスピーカーで鳴らして音楽を耳に届けます。
自然の音とスピーカーの音が同じなら三次元空間(この場合は演奏空間)として認知できます。音楽信号は「信号の相方」アース=グラウンド(以後グラウンドと記す)無しには流れません。ステレオは左右の信号の「相方」のグラウンドが共通のために干渉を起こして変調や混濁を伴って耳に入ってきます。(ステレオヘッドホンのプラグは先からチップ、リング、スリーブに三分割され スリーブが共用グラウンドになっています。)演奏では左右ふたつの音が自由に駆けてやってきますが、ステレオは二人三脚のように無理な走り方でやって来るようなものです。
微細な違いを聴き分けて三次元空間を認知する耳にそんなステレオの「都合」が届いてしまうといわゆる「ステレオ」に聴こえてしまうのです。
左右チャンネルのグラウンドを分離してグラウンドアイソレーション(=分離)を行うだけでチャンネル間のグラウンド干渉がなくなり演奏に近い感覚を得られます。この不自然さの解消は音質改善の次元とは異なり人の聴覚による空間認知の自然化に基づくものです。
グラウンドアイソレーションによる自然化はリスナーの音質の好みとは別次元のため演奏空間の再現は好みの音質のままという特徴をもっています。
左右のグラウンドを分離するグラウンドアイソレーションの基礎は「ひとつの増幅段の動作環境を担っている電源回路のグラウンドは他のグラウンドと共用せず純粋にひとつでなければならない」という独自のピュアグラウンド理論です。
ピュアグラウンド理論に基づく回路の音質は自然の音と同じように、グラウンドに干渉されずに耳に届くため聴覚と脳の働きに違和感を与えません。グラウンドアイソレーションはオーディオの音を自然な音にするためにまず必要なグラウンド対策と言えます。
左右のグラウンドアイソレーションだけでピュアグラウンドの完成なら話は早いのですが、アンプ回路をピュアグラウンド化しないと自然な音になりません。
アンプ回路は複数の増幅段で構成されています。アンプ回路でのピュアグラウンド化を行うには各増幅段ごとに増幅を担っている電源回路を用意して増幅段同士のグラウンド干渉を避けなければなりません。
真空管アンプは増幅段数が少なくピュアグラウンド×増幅段数の構築が可能です。例えば通常真空管プリアンプは1~2段増幅、真空管パワーアンプでも2~3段増幅です。1段増幅プリアンプならばそのままでピュアグラウンドが成立します。複数段増幅でも各段毎に増幅を担う電源あるいはグラウンドノイズスプリット回路を用意すればグラウンド干渉のない音質を得られます。
自然の音にはグラウンドそのものがありません。オーディオでは必須のグラウンドですが、グラウンド干渉が無ければ聴覚の三次元空間認知にストレスを与えないため音楽から演奏空間を感じ取れます。
市販されている多くの半導体アンプではディスクリート(=個別に分離した)直結回路がほとんどのためにピュアグラウンド化する事は大変難しくなります。半導体には真空管にはないPチャンネル素子があるために直結回路が組めます。この素晴らしい素子をディスクリートで組み上げるのはエンジニア冥利ですが直結回路は増幅段の区切りがないので増幅段毎のピュアグラウンドは成立しなくなってしまいます。
日向に置かれた飴のようにお互いがくっつきあって渾然一体となってしまっていますが、本来であればひとつづつ電源を与えられるのが理想なのです。
デイスクリートアンプでは1素子1素子に1半導体チップですが、1半導体チップ上に全て構築できるICやLSIは1半導体チップ毎にピュアグラウンドを成立させることができます。
ディスクリートアンプではピュアグラウンドが成立しないこと以外にも独立した半導体チップから外部パターンへ引き出すのでグラウンドラインは渡り配線に近いパターンを取り囲むか、あるいは片面ベタアースにして対処します。共に音質の劣化が認められます。
現在オーディオに使える半導体の供給は汎用パワー素子とドライブICに絞られてきています。以前一世風靡したDCアンプ初段に用いられたJ-FETなどは新しいもののリリースは皆無です。時代の移り変わりとくくってしまえることですが、もはやディスクリート半導体を使ってオーディオアンプを作っているのは自作マニアと高級アンプメーカーのみなのです。これらはピュアグラウンド化出来ないために不自然な干渉を排除出来ません。
ICの等価回路と同じ回路をディスクリートで組んでICは成立して、ディスクリートなら不成立だと述べるのは妥当ではないとおっしゃる方がいると思います。半導体素子で記された等価回路は敢えて説明するならの意味合いです。配線パターンが等価回路には記してありますがIC内に配線はなく半導体基材の層であり半導体そのものです。(昔のハイブリッドICの中はディスクリートです)そのためICアンプやICパワーアンプならピュアグラウンド理論を反映したものが組めると考えられます。
今まではグラウンドの干渉がチャンネル間にあることとアンプの回路の増幅段間にもあることを記しました。グラウンドを巡る問題はグラウンド同士の干渉による音質の不自然化とは別にグラウンドのノイズ問題が存在します。
ACコードから電源を供給されるオーディオ機器は筐体に交流電圧が発生するために音楽信号とは無縁のノイズを持ちます。これが筐体グラウンドノイズです。筐体グラウンドノイズはシグナルノイズと異なり直接聴くことはできません。
オーディオは何度も述べているように電気信号を増幅して楽器の響きをスピーカーで鳴らして演奏を再現します。電気信号は「相方」のグラウンド側を基準にしているため筐体グラウンドノイズがあると演奏ではありえない変調を受けた音が耳に届くのでやはり不自然に聴こえます。
筐体グラウンドノイズの存在はオーディオ機器の筐体電圧をACコードの差し替えで低い方に合わせる裏技的な事で知られていました。さらに信号が流れる故に過渡的に発生するグラウンドエフェクトノイズがあります。電気抵抗が絶対ゼロであればグラウンドエフェクトノイズは発生しませんが、実際にはいくつかの値があるので音楽信号がグラウンド側に流れると呼応した微電圧が痕跡のように刻まれます。
この痕跡波はグラウンド側のインピーダンスの低さのために先にスピーカーまで到達して遅れてきた主信号と干渉します。これも演奏にはないオーディオ特有の現象として不自然さを聴覚に与えます。
その意味で筐体グラウンドノイズは静的ノイズであり、グラウンドエフェクトノイズは動的ノイズと言えます。
グラウンドエフェクトノイズは電流値が大きいほど強く現れるために同じ消費電力ならば真空管アンプよりも半導体アンプの方が影響が大きくなります。いわゆるトランジスターアンプらしい音になります。
グラウンドノイズは測定器のグラウンドと同一のため、測ることはできません。しかし測れないことは存在しないことを意味しません。グラウンドノイズの有り無しは聴き比べれば誰にもわかります。
ピュアグラウンドには増幅段毎の電源回路が必要です。
しかしアンプ回路内のグラウンドを非接触とすると「相方」は繋げないことになります。左右のグラウンドでは非接触での音質の自然化が成り立ちますが同一チャンネルでグラウンドを繋がないと音楽信号が流れずにノイズが出ます。グラウンドを繋ぎながらもグラウンドに載ったグラウンドノイズを通さない工夫が必要になります。その働きを担うのがグラウンドノイズスプリット技術です。
静的な筐体グラウンドノイズと動的なグラウンドエフェクトノイズというグラウンド側のノイズの伝送を抑えることで演奏の音には無いグラウンドの不自然さを抑えます。グラウンドノイズのない音は聴覚の三次元空間認知を阻害しないためオーディオから演奏空間を再現します。グラウンドノイズの伝送を抑える市販機器用コンポーネンツがテクノクラフトオーディオデザインの独自オーディオコンポーネント、KANADEです。
テクノクラフトオーディオデザインの多くの機器はピュアグラウンド理論を基礎に設計されています。特に新D/Aコンバーターはデュアルコアを搭載してデジタル信号から左右チャンネルのグラウンドアイソレーションを確立している比類のないものです。
1チップ1ピュアグラウンドを実現した左右のグラウンド干渉もない世界で唯一無二のD/Aコンバーターです。
オーディオ雑誌でよく使われる言葉ですが、この言葉の意味するところは聴覚による三次元空間認知ではありません。グラウンド干渉の発生を止めて、かつグラウンドノイズの伝送を抑え、自然の音と同じ条件にして聴くことで可能になる三次元空間認知のことを指しているのではありません。音質の質感向上のみに焦点をあてて音源の並びや空気感を「リアル」に感じれることを述べていますが、左右のスピーカー面がセンター位置を覆っているようなステレオ独特の鳴り方には変化がありません。そんなスピーカー面をスクリーンに見立てて音源位置や遠近感を定位感や音場感と称しているに過ぎません。いわば流行りの薄型ハイビジョンTVのようです。
一時代前のテレビからすると見紛うほどの細密画像であり、遠くの小さな画像もはっきり映っていますが、平面を見ているに過ぎません。最初に記したように目は三次元空間認知出来ますが、平面薄型ハイビジョンTVは三次元としては見えず 動くポスターの域を出ません。高分解能や高密度の音質は細密画像に似ています。
実際の演奏会を超える情報量とも思えるほどのリアルな音ですが平面的で奥行きがありません。グラウンド干渉とグラウンドノイズを伴っている音の特徴です。
グラウンド干渉やグラウンドノイズを排除できれば「オーディオ」の音は自然の音に近づきます。グラウンドというオーディオの都合を人の聴覚に合わせて自然化してゆくことが音楽を奏でるオーディオ機器の条件です。
グラウンド干渉を目立たせないように過剰なほどの強力な電源部を搭載したり、グラウンドノイズをアース線付きのACコードや機器間接続に驚くような太さのケーブルで対処しなければ「音楽」にならないオーディオ機器は避けることです。人の聴覚に合わせて 自然に聴こえるオーディオ機器=グラウンドコントロールに基づいた設計機器を用いて音楽を楽しんで欲しいと願っています。
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